加工は「写真を壊さず魅力を引き出す」ための道具です。
やりすぎると不自然になり信用を失う一方、適切なら印象を大きくアップできます。
ここでは何を、どれくらい、どの順で触れば自然に見えるかを具体的なスライダー目安やアプリ別ワークフロー、よくある失敗の直し方、倫理的な注意点まで含めて実践的にまとめます。
1) 基本原則(覚えておくこと)
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修正は最小限に:まず「直したい箇所」を明確に(ニキビ・赤み・明るさムラ等)。全体をいじる前に局所処理を優先。
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立体感を残す:ハイライトを飛ばしすぎたりシャドウを潰すと平坦に見える。立体感は“信頼感”にもつながる。
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人間らしさを残す:左右完全対称、輪郭を極端に細くする、目だけ大きくする──これらは「違和感」を生む。
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常に原点(オリジナル)を確認:編集前と編集後をこまめに見比べる(50/50スライドや抜き差しのショートカットを使う)。
2) まずやるべき“最初の3分”チェック(即効ワーク)
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トリミングで構図を整える(目線は画面の上1/3へ)。
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**露出(明るさ)**を微調整:顔のディテールが潰れない範囲で調整(目安:±0.2〜0.5段)。
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ホワイトバランスを確認:肌が不自然に黄色・青になっていないか。自然光は約5200Kを基準に微調整。
→ ここで不自然なら後の加工が台無しになります。
3) アプリ別・実践ワークフロー(初心者〜中級者向け)
A. Lightroom Mobile(推奨ワークフロー)
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Crop(トリミング):構図を整える。
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Light(ライト)
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Exposure(露出):±0.2〜0.6 を目安。
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Contrast(コントラスト):+5〜+15で立体感を軽く出す。
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Highlights(ハイライト):−10〜−30(ハイライト飛びを防ぐ)
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Shadows(シャドウ):+10〜+30(暗部のディテール復元)
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Color(色)
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Temp(色温度):微調整(−200〜+200程度)で肌が自然に。
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Vibrance(自然な彩度):+5〜+15(過剰な彩度は避ける)
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Detail(ディテール)
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Texture:−5〜+5(肌は−5〜−10で若干柔らかく)
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Clarity:−5〜+5(顔は控えめ)
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Sharpen:20〜40(全体のシャープ感)
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Healing(スポット修正):ニキビ・小さなシミを局所処理(ブラシサイズを最小に、周囲と馴染ませる)
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Selective(局所補正):目の周り・歯・衣服の明るさを局所的に上げる(+5〜+10)
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Export(書き出し):長辺1080–2048px、JPEG品質80–90。
B. Snapseed(無料で高機能)
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Tune Image:Brightness/Contrast/Saturationを軽めに調整。
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Selective:顔周りの明るさや色味を局所的に調整。
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Portrait(あるいは“人物補正”ツール):目の明るさ+8〜12、肌のスムージングは控えめ(−5〜−15)
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Healing:ニキビや余分なゴミを消す。
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Export:サイズと品質を指定。
C. VSCO / Afterlight(フィルター系)
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フィルターは1段階までの強度に留め、露出/コントラストで微調整。
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フィルターでトーンを作ったらLightroomで最終調整すると安定。
4) 肌補正の「やりすぎない」テクニック
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局所処理が基本:顔全体を丸ごと平滑化するのではなく、小さなスポットを消す。
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周囲テクスチャを残す:頬の大きな毛穴や肌のテクスチャは少し残すと自然。完全にツルツルは不自然。
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スライダー目安(Lightroom):Texture −5〜−15、Clarity −5〜−10。これで程よく滑らかに。
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ミックス手法:Snapseedの「Portrait」で目元強調→Lightroomで全体調整、が自然に仕上がることが多い。
5) 輪郭・顔痩せ補正は慎重に
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やっていいこと:影を強めにして輪郭を締める(シェーディング風)→自然に見える。
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やってはいけないこと:顔を大幅に縮める、首と顔の繋がりが不自然になる補正。
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代替策:トーン(シャドウ・コントラスト)で「見せ方」を調整する方が安全。
6) 目・歯などパーツ強調のコツ
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目:明るさ+シャープ+軽い黒レベル(目の縁のコントラスト)で自然に。やりすぎると白目だけが不自然に明るくなる。
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歯:ホワイトニングは微量に(Saturation−5、Brightness+2程度)。歯だけ真っ白にすると違和感。
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口紅色の調整:彩度を少し上げ、唇にコントラストを残す。リップは顔の“色ポイント”なので控えめが吉。
7) 背景処理と被写体の分離
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背景ぼかし:自然な被写体分離はポートレートモードで撮るのがベスト。編集でぼかす場合は境界の処理に注意(髪の毛のエッジがジャギーになりやすい)。
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色補正で被写体を引き立てる:背景を少し暗くして(シャドウ−10〜−20)、被写体の明るさを維持すると目立ちやすい。
8) プリセット・テンプレ作成と運用
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プリセットは“基準”を作るために便利:同じ撮影環境で複数枚を安定させるのに有効。
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作るときのポイント:必ず複数タイプ(屋内窓光用/屋外曇り用/屋外晴天用)を用意。
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保存時の注意:プリセット適用後は必ず個別にExposure/White Balanceを微調整する。
9) 書き出し設定(用途別)
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SNS(Instagram等):長辺1080〜2048px、sRGB、JPEG品質80〜90。
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ウェブ(LPやブログ):長辺1600〜2048px、sRGB、品質85前後(ページ軽量化のため)。
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印刷用:300dpi、TIFFまたは高品質JPEG、カラープロファイルはCMYK変換前に保存しておく。
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アーカイブ(元データ保存):オリジナルのJPEG/RAWは必ず残す。
10) よくある「やりすぎ」例と即効修正法
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顔だけツルツル/体はテクスチャあり → 顔のTexture/Clarityを少し戻す(+5〜+10)。
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目が不自然に白い → Highlightsを微調整、目の白さだけ下げる。
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唇や肌がプラスチック感 → Saturationを−5〜−10、Textureを+3して自然感を戻す。
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輪郭が不自然に細い → 補正履歴を戻す。局所的にシャドウを足して馴染ませる。
11) AI自動補正ツールの使い方と注意点
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利点:時間短縮、初心者でも一定の仕上がりが得られる。
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注意点:自動処理は“最も一般的に好まれる結果”を出すが、顔の個性やブランドトーンに合わないことがある。必ず手動で微調整を。
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倫理:他人の写真にAIで過度に変形を加えるのは相手の同意が必要(特に商用利用時)。
12) 倫理と公開時の配慮
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本人の同意:他人の写真を編集して公開する場合は必ず許可を得る。
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過度な改変の明示:婚活やビジネス等で極端に加工した写真はトラブルの原因。プロフィール写真では「実物と著しく異なる加工」は避ける。
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肖像権と利用規約:撮影場所や写真の利用に制約がある場合があるので確認を。
13) 最後に:実践チェックリスト(撮影→公開まで)
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トリミングで構図を決めたか?
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露出とホワイトバランスを整えたか?
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肌補正は局所的かつ控えめか?(Texture/Clarityを確認)
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パーツ強調(目・歯)は自然な範囲か?
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輪郭修正は首と繋がりが自然か?
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書き出し設定は用途に合っているか?(解像度・色空間)
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他人の写真を加工していれば同意を得たか?
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最後にオリジナルと比較して違和感がないか確認したか?

